「食物アレルギー」という言葉を一度は聞いたことがあると思いますが、食物アレルギーは病気の一種であり、治療できるのはアレルギー専門医や精通した医師です。鶏の卵、牛乳、小麦のタンパク質が食物アレルギーの原因であるといわれています。
食物アレルギーの乳児(1歳まで)は、なんと10人に1人の割合で存在しています。軽度も含みますが、これは非常に高い割合です。小学校に入る頃には100人のうち3人くらいの割合に減ります。重度の食物アレルギーの子どもは、各小学校に2人くらいといわれています。
反対に、中学生や大人になってから食物アレルギー発症が起きることもあります。食物依存性運動誘発アナフィラキシー(※1)や、口腔アレルギー症候群(※2)などは小学生以上で起きることが多いです。
※1……食物依存性運動誘発アナフィラキシー
原因となる食物(多くは小麦や甲殻類)を摂取して数時間以内に運動をした時に、じんましんなどの皮膚症状や腹痛、下痢、嘔吐などの消火器症状、さらに重症の場合はアナフィラキシー症状が現れます。
※2……口腔アレルギー症候群
特に果物や野菜を食べた直後に唇や舌、口の中に痒みが出現するアレルギー疾患の一つです。花粉症との関係が深く、スギ花粉症やシラカバ花粉症の方にこの口腔アレルギー症候群の合併がみられます。
(環境アレルギーアドバイザー試験公式テキスト抜粋)
身近に存在する問題
食物アレルギーは、いろいろなパターンで起こっている身近な問題と言えます。
今年4月、熊本で大きな地震が起こりました。被災された食物アレルギーの人は、食事に苦労されていると聞いています。全国の支援する団体・企業・患者会・アレルギー学会の医師が一丸となり、その人達を守ろうと動いています。しかし、直接手助けできるのは、その人の周りにいる家族と地域の方々です。震災はいつどこで起きるのかわかりません。多くの人が食物アレルギーのことを知ることで、多くの当事者が災害でも救われます。
症状と対処方法
アレルギーの症状は、なぜ起きるのでしょうか。
通常、卵を食べて身体に異変は現れません。しかし、食物アレルギーの人が誤食をすると、アレルゲンに対して身体が「異物」と察知し、自分の体の中で攻撃をします。アレルゲンの経路は口からだけでなく、食べ物に触れるとじんましんなどの皮膚症状が出たり、イカを焼いた煙などを吸ってアレルギー症状になる場合もあります。それらは、十人十色の現われ方があります。口が痛い、お腹が痛い、気持ち悪いなどといった状態が悪化すると、アナフィラキシーとなり喘鳴、顔面蒼白、下痢、嘔吐を繰り返し、最悪の場合ショックを起こし命に関わる危険な状態に移行します。
アナフィラキシーの状態になった時に使用する治療補助剤の自己注射があり、重度の人は携帯しています。
その名を「アドレナリン自己注射」、または「エピペン」といいます。重度の食物アレルギーの人が誤食したらすぐに、119を押してアドレナリン自己注射を打ちましょう。基本的に本人が打ちますが、小学生の子では、おそらく意識がもうろうとしているので自分で打てないと予想されます。近くにいる大人が救急対応として勇気をもって打つ必要があります。その打ち方は安全キャップをはずし、ぎゅっと握って太ももに5秒押し付けます。そういうトレーニングを、何度も繰り返さないと「いざ!」という時になかなか実践できないかもしれません。
もっと詳しく学ぶには
防災訓練の際に食物アレルギーについて学ぶ場を設けている地域もあります。また、アドレナリン自己注射の使用方法のセミナーは、全国各地で行われています。環境アレルギーアドバイザーのメルマガを登録することでも情報を入手できます。
学べば、何も怖くありません。少しずつ、このコラムでご一緒に学びましょう。
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