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ハンコ屋ギャラリーカフェ「江湖庵」

2019.04.30

WRITTEN BY

りーしゅんライター

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ユーモアあふれるハンコと体に優しい食事が楽しめる「カフェのあるハンコ屋さん 江湖庵」が近江八幡にオープン

人生の様々な節目において大きな役割を果たしてくれる「ハンコ」。自分の名前が彫られたハンコは、いわば自分の分身のような大切な存在といえますね。そんなハンコを、一つ一つ丁寧に想いを込めて彫るハンコ職人 齊藤江湖さんが昨年、近江八幡市に「カフェのあるハンコ屋さん 江湖庵」をオープンされました。

「大切なハンコなのだから、どうせなら楽しい空間でゆったり楽しみながら選んでほしい。堅苦しいものでなくもっと身近なものとして楽しんでもらえるスペースを」という想いで、築200年という古民家にオープンされた同店。まるで時がとまったかのようなゆったりとした時間の流れる素敵な「カフェのあるハンコ屋さん 江湖庵」へmoa編集部が取材に行ってきました!

奥行きある店内は、ギャラリー・カフェ・「静寂の間」の3つのスペースが点在。カフェにはかわいらしいキッズルームも!

お店に一歩足を踏み入れると皆「外から見ていたのとはまるで違う」とビックリされるという奥行きのある店内は、大きく分けて3つのスペースに区分されています。店内に入り右手にはハンコ・書を魅せるギャラリースペースが。

明るい光が降り注ぐこちらのスペースの壁には、取材時はお客さんと共に作り上げたという桜のアート作品が。このすぐ後にまた別のアート作品に装いを変えられるとのこと。訪れる際には楽しみの一つになりますね。

店内に入って左手のカウンターの奥は齊藤さんの仕事場となっています。

実際に齊藤さんがハンコを彫られている姿は、店内からはもちろん外の窓からも眺めることができ、通りがかりの方やこの辺りを通る学校帰りの子どもたちからも、熱い視線を受けることもあるのだとか。職人の姿を間近で見られるなんとも贅沢な機会ですね。

隠れ家のようなキッズルームもあるカフェスペース

隠れ家のようなキッズルームもあるカフェスペース
隠れ家のようなキッズルームもあるカフェスペース

土間を通り中へ入っていくと、照明を落とした少し暗めのゆったりとしたスペースが広がり、こちらではカフェタイムを楽しむことができます。まるで隠れ家のようなかわいらしいキッズスペースも。子ども連れでも気軽に訪れることができますね。

昔ながらの柱やおくどさん(かまど)の湯気でできたシミなど、築200年の歴史があちこちに刻まれた店内はほっと安らぐ居心地のいい空間であると同時に、齊藤さんの面白みと味わい溢れる作品を楽しめる空間でもあります。店内を美しく彩る趣向を凝らした照明もとっても素敵ですね。

カフェスペース奥の畳の部屋は「静寂の間」。齊藤さんが書いた掛け軸や、日本の四季を眺められる坪庭がほっと心を和ませてくれるスペースとなっています。

あのNHK連続テレビ小説のハンコ指導も!

「江湖庵」の庵主でハンコ職人の齊藤江湖さんは、祖父の時代から代々ハンコ屋を営まれてきた三代目。

「実は、最初からハンコをやろうと思っていたわけではなくてサラリーマンをしていたこともあったんです。だけど、一人一人と真摯に向き合いハンコを作り上げていく父の仕事に対する姿勢を見て、ハンコ職人の魅力に気付きこの仕事を始めました。」

その後、12年前に友人と異業種4店舗からなるショップ「尾賀商店」を近江八幡に立ち上げ、多くの方々の名前を彫ってこられました。2001年には全国技能グランプリ印章木口彫刻の部で金賞を受賞し、最近ではあのNHK連続テレビ小説「まんぷく」にてハンコ製作指導を行うなど、幅広い活動を行う齊藤さん。

齊藤さんの手掛けるハンコは、その人のひととなりが滲み出たユニークで愛情溢れるものばかり!

同店では、そんな齊藤さんがこれまで実際に手掛けてこられたハンコの作品の数々を目にすることができます。

自分でも思い出せないほど多くの名前を彫ってこられたという齊藤さんの作品は、私たちの想像する堅苦しい字面のハンコのイメージに反し、ぱっと花が咲いたようなかわいらしいものやお洒落なもの、印面を一目見ただけでその人の人となりが浮かぶユニークで味わい深いものばかり。

お酒が好きな依頼主が、楽しくお酒を飲み酔っぱらっているイメージで彫ったというユーモア溢れるハンコ。見ているだけで、ほっこり笑みがこぼれますね。

依頼主の方はご自分のものはもちろん、子どもへのプレゼント、また大切な方への結婚・出産・就職など、様々な節目のギフトとしてプレゼントされることが多いのだそう。

最近ではインターネットでも簡単に作れるようになったハンコですが、齊藤さんは祖父の代からその目で見てきた、

「一人一人のお客様と対面し、ゆっくりと時間をかけて一つ一つのハンコを作っていく」

というまさに職人の姿勢ともいうべき手法を守り抜いています。その為、ハンコをオーダーされる際は、事前にお電話にて来店相談をされてから、ゆっくり時間のある日に訪れるのがおすすめ。

ハンコは約1〜2ヵ月で完成。ご来店、もしくは郵送にて受け渡しされます。

ハンコの印材は、一般的に広く使用されている「本柘(ほんつげ)」「牛の角(つの)」、書画などに使用されることの多い「石」、個性的な味わいと縁起物としても親しまれる「竹根」などがあり、実際に店頭で見本を見て最適な1本を選んでみては。

他にも、江湖庵オリジナル住所ゴム印や表札なども依頼可能。 手書き文字ならではの温かみが人気です。

インテリアとして気軽に親しめる作品も

ハンコの他に、書も手掛けているという齊藤さん。味わい深く、ときにダイナミック、ときにしっとりと繊細な字の描かれたファブリックパネルや掛け軸は、おうちの印象もぐっと華やいで見せてくれそう。

店頭で販売されているものの他に、オーダーも可能。名刺・ショップカードも依頼でき、江湖庵オリジナルの手ぬぐいやポストカードなどの小物も充実しています。

体に優しい美味しいスイーツを編集部も堪能

そんな温かみ溢れる店内で提供されるカフェメニューは、奥様の「せっかく人生の大切なときに使うハンコなのだから、楽しい空間で美味しいものを食べながら選んでほしい」という思いから、素材にこだわり手間暇かけた優しい美味しさが持ち味となっています。

「元々、娘が小麦アレルギーだったことから、安心して食べられるものを、と手作りしている内に周囲からも評判になった」という奥様。

精製された白砂糖ではなくきび砂糖を使用したり、小麦の代わりに米粉や玄米粉が使われています。そんな奥様の優しい思いの詰まったスイーツを編集部も頂きました。

一番人気の米粉のシフォンケーキ550円(アイス・季節のフルーツ付)は、くちどけ柔らかなシフォン生地に、程よい甘さの米粉のカスタードが相性抜群。心に染みわたる美味しさでした。ハートに縁どられたいちごが可愛らしく華を添えています。

手作りプリン(350円)は、牛乳・卵・きび砂糖・生クリームのみのシンプルなプリン。あっさりした味わいの中にも優しい甘味が広がり、素材の魅力が染み出る味でした。

また、スイーツと共に頂いたブレンドコーヒーは、注文を受けてから豆を挽き、一杯づつ丁寧に淹れられた一杯(ホット・アイス共に500円。10分程度のお時間がかかります)。

奥行きのあるその味わいはコーヒー好きも大満足の味。こちらのコーヒー豆は、齊藤さんもその手仕事に惚れ込む丁寧な選別・焙煎作業によって手入れされた、京都のコーヒー焙煎所から仕入れたものを使用。

「こちらも是非味わってほしい」と淹れて頂いた和紅茶500円(レモンorストレート)は、紅茶とお茶が合わさったような不思議な飲み心地。和と洋が織りなす、まさに和紅茶といった味わい。砂糖を加えるとまた違った味わいに。レモン生姜ティー500円(自家製生姜シロップ入り)も人気のよう。

こちらの和紅茶は信楽の茶農家さんより取り寄せている朝宮茶です。他にも煎茶・ほうじ茶ラテを店内で楽しむことができます。


他に日替わりのお野菜プレートやランチプレート(要予約)もあり。ランチメニューは限定数のみの御提供となりますので事前にお電話で御予約されるのがおすすめ。

またカフェで使用されている食器は、齊藤さんが15年以上の付き合いになるという京都の作家さんのもの。使い勝手を意識した実用的なデザインは、カフェタイムの質をさらに高めてくれます。

店内ではカフェで使用されているお茶や陶器の販売もされているので、訪れた際には是非チェックされてみて下さいね。齊藤さんがその手間を惜しまない手仕事に惚れ込んだ本物がおうちでも味わえます。

自身の手掛ける書の作品に様々な反響が寄せられるそうです。「言葉って使い方によっては人を傷つけてしまうこともあるけど、支えることもできるんだなと感じる。だから改めてこういう仕事っていいな、て思うんですよね。」誇らしげに語るその姿には、齊藤さんの人となりがじんわり滲み出ていました。

「名前って親からの大切な贈り物でずっと寄り添うものじゃないですか。そんな大切な名前を一旦預からせて頂いて、心を込めて彫ってハンコにする。そしてその作ったものを生涯持ってもらえる。こんなことができる仕事って他になかなか無いと思うんですよね。」名前を彫っている間は、その人のこれからの人生に陰ながらエールを送る気持ちで彫っている、という齊藤さん。

素敵な作品と美味しいスイーツ、香ばしいお茶、古い建物の温かみと齊藤さん夫妻の人柄が染み出た心安らぐ空間「カフェのあるハンコ屋さん 江湖庵」。編集部もゆったりときを過ごしすぎて、帰りにうっかり忘れ物をしてしまったほど…。そんな、なんとも居心地のいいお店でした。素敵なハンコと出会うために、ゆったりカフェ時間を楽しむために、是非訪れてみて下さいね。

WRITTEN BY

りーしゅんライター

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店名ハンコ屋ギャラリーカフェ「江湖庵」
TEL0748-40-0290
電話の際はモアを見たというとスムーズです
住所523-0864
近江八幡市為心町元7

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