
【食器は料理の着物】食道楽から作陶の道に入り、類い希な感性で芸術的才能を発揮した北大路魯山人(1883-1959)が、「魯山人近作鉢の会」に寄せた序文の言葉です。山海の幸に恵まれた日本では、自然の美しさや季節の移ろいを表現した、感性で味わう食文化が育まれてきました。
こうした伝統のなか、信楽でもとくに近代以降、模範工場や試験場を中心に、陶土や釉薬そしてデザインなど“うつわ”づくりの研究が進展しました。
今日では多くの陶芸家の工房や製陶所が、現代の“Shigaraki Style”を追求しています。ソーシャルメディア時代の到来と食事や健康への意識の高まりは、料理と生活の関係に大きな変化をもたらしています。今や“うつわ”へのこだわりは料理のプロだけでなく、〈おうちシェフ〉にまで広がりをみせています。本展では、穏やかな質感で料理の世界に注目されている信楽のうつわを中心に紹介、双方の関係を探りつつその魅力に迫ります!