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株式会社エフアイ

2019.03.12

WRITTEN BY

りーしゅんライター

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滋賀県の女性経営者インタビュー 01|北野裕子さん(株式会社エフアイ)

県内に女性専用健康体操教室「カーブス」や整体を展開し、経営コンサルティング事業もこなすなど近年成長が著しい株式会社エフアイ。2016、2017年度には県中小企業家同友会の認定する「滋賀でいちばん大切にしたい会社」に2年連続選出され、社員の会社への満足度100%という驚異的数字を記録したことでも注目を集めています。

そんな滋賀に欠かすことのできない会社エフアイを運営するのは、大きな瞳が印象的な素敵な女性「北野 裕子」さん。エフアイ創業者である父親の勧めから、20歳でこの会社に飛び込んだ北野さんでしたが、実は学生時代の夢は「玉の輿に乗って専業主婦になること」だったのだそう。そんな北野さんがいかにして社長となり、社員が幸せを感じられる会社を作りあげることができたのか?その秘密にモア編集部が迫りました!

エフアイの主な事業は三つ、キーワードは「健幸」

エフアイは「健幸=心と体が健康であることの意味を込めた当て字」をキーワードに三つの事業を展開しています。一つ目は、社内理念であるハッピートライアングルを社会に広めることを目的に、組織向けの研修などを行うコンサルティング事業「三方よし事業」。二つ目は、県内に6つの店舗を構え、筋力トレーニングから健幸を促す「カーブス事業」。三つ目は体を整える整体で健幸を促す「カラダファクトリー事業」です。

株式会社エフアイの誕生のきっかけ

そんなエフアイは、北野社長の父親である現会長 北野一郎さんの「会社を設立したい」という熱い想いからだったのだそう。栗東市で公務員として勤務されていた一郎さんは退職後、写真店とDPE事業を営む株式会社エフアイを設立。当時19歳でまだ短大生だった北野社長はその頃から父親と共に一緒に勉強会へ行き、写真の機械の使用方法を教わるなどして会社の仕事に携わっていたそうです。

そして、父親に勧められ短大を卒業と同時に会社の社員として入社することに。けれども、入社は父親の熱意に共鳴されてかと思いきや、

「単に楽をして就職活動をしたくなかっただけなんです。学生の頃から楽して生きていけたらいいなと考えていたので。本当は玉の輿に乗ってそこそこいい収入の大企業に勤めている旦那様の元で専業主婦をしたいなと考えていたんですよね。」

と意外な答えが返ってきました。

また、今のお姿からはとても想像がつきませんが、子どもの頃は決して人前に出るタイプではなく控えめで口数の少ない子どもだったという北野さん。自身を変える転機となったのは中学生の頃。バスケットボールの部活を通して徐々に成功体験を積むことで、自分が好きになり自信を持つことができるようになったそうです。

軽い気持ちで足を踏み入れたものの、会社のため家族のために仕事に生きる過酷な毎日

そんな半ば軽い気持ちで会社へと足を踏み入れた北野さんでしたが、いざ仕事を始めてみると社会人経験の無い北野さんにとってはどれも分からないことだらけ。

「まずお客さんの開拓の仕方も分からなければ営業の方法も分からない…。写真店自体も10店舗あるもののどれも黒字ではなく当然赤字の店もある。そこをどうやって黒字に乗せていくか…。苦労が多かったですね。最初は楽をしたくて父の会社に入りそれが永久就職先となったのですが、わたしにとってそれは楽ではなかったんです。でも、自分を成長させるには最高の場所でした」

と振り返る北野さん。

そんな険しい道のりの中で、自身の成長の糧となった極めて大変だった時期を伺うと、大きな荒波に揉まれた時期が二度あったそう。一度目は32歳のとき。当時は写真がフィルムからデジタルへと徐々に移行していた過渡期であったことから、現像・プリント事業が低迷。売上は毎年下がり続ける一方…。

印刷の事業やフリーペーパーの刊行に着手するも、それらに関するノウハウを熟知している北野さん一人に仕事が集中し、おまけに社員の給与も補償しなくてはいけない。押し迫ってくる重圧に耐え、来る日も来る日も働き続ける北野さんでしたが、事態は改善するどころかプライベートでも病気での入院、自身の離婚、過労からくる居眠り運転の交通事故などまさに不幸続き。

当時を振り返り、

「すごくしんどくてもなぜそうなったのかというと、やければならないという気持ちで常に動いていたからだったんです。両親のためにやらなければならない、頑張らなければならないという思いで。もちろんそれがきっかけで能力は上がったと思うんですけど、心がついていかなかったですね。」

と語る北野さん。そんな、これ以上底の無いようなどん底を経験した北野さんでしたが、持ち前のポジティブ精神で「落ちるところまで落ちたんだから、これ以上落ちることはないだろう」と達観していたといいます。

やればやるほどに世の中を幸せにできるカーブスとの出会い

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そんな北野さんに訪れた次なる荒波は、34から35歳のとき。それはちょうど会社のこれからの事業の選択を迫られていた頃。必死に仕事をする中で目を付けたのは「カーブス」でした。女性専用の健康体操教室を全国的に展開しているカーブスは筋力トレーニングや有酸素運動、ストレッチなどをわずか30分間という短時間で無理なくこなせることを特徴としており全国にフランチャイズ展開しています。

その手軽さが中高年層を中心に受けていることに着目し、高齢化社会である今、運動習慣を定着させることで要介護や寝たきりの高齢者を減らし元気な高齢者を増やすことが社会の幸せにつながることを確信し、フランチャイズに加盟することを決意。

それまで、会社の利益と顧客の満足度が正比例していないことに疑問を感じていた北野さんでしたが、「やればやるほどに世の中を幸せにできる=会社の利益と顧客満足度が正比例する」というやりがいをカーブス事業に見出すことに。けれど同時に、今まで取り組んできた写真事業から撤退するという苦渋の決断も下さなくてはならず、悩みに悩んだ時期だったといいます。

最初は、写真事業を継続しながらカーブス1号店をオープンさせるための資本金の準備や、スタッフの採用の連絡や面接など、膨大な仕事をほぼ一人で進めなくてはならず息つく間もないほど大変な時期だったといいます。ですが「大変でしたが暗くはない大変でした。32の時の先の見えない荒波と違い、これをこなせば必ず光が見えてくるという自信があったので。あとは6年で6店舗をオープンさせるという目標に向かって、突き進むのみでした。」

その後、無事に会社を軌道に乗せ長く社会に貢献できる会社への基盤を作り上げた北野さんは、2009年にエフアイの社長に就任。また幾多の荒波の中で「人」の大切さに気付いた北野さんは、社員に三方よしの考え方を取り入れた研修を実施。さらには社会にも健幸な風土を広めるべく三方よし事業、すなわち経営コンサルティング事業を開始しました。そんな30代で駆け抜けた波乱万丈の日々を振り返り「その経験が本当に有難かった。全てが今の自分を作っている」と誇らしげな表情で語る北野さん。

どんな困難をも前向きに捉える姿勢が荒波を乗り越えるカギとなったのでしょうね。ご自身の性格について伺ってみると

「どちらかというとポジティブなほうですね。だけど悩みが無いというわけではないです。マイナスなことも身の回りに起こるしマイナスな言葉を口にしてしまうこともあります。ただ、マイナスな物事が起こったときにそれをプラスに変換させる切り替えの早さは昔と比べて上がりました。昔は一週間かかって切り替えれていたものが最近では一瞬で切り替えれる。ただ物事は深く考えるほうですね。自分の言ったことでも本当にできているのかな、とつきつめたり深く考えていますね。」とのこと。

毎年年末になると、エフアイでは来年度の一文字を決めています。北野さんの今年の漢字は「叶」。プラスな言葉は口にすると「叶」という漢字になりますが、マイナスな言葉を口にすると「吐」に変わってしまいます。日頃よりプラスな言葉を使うよう心がけている北野さんらしい一文字ですね。

また周りの環境への感謝を惜しまない姿勢も印象的でした。仕事において心の支えとなっている存在をたずねると「社員ですね」と即答した北野さん。

「よく経営者は孤独っていうじゃないですか。でもあれって私には全然当てはまらないんです。社員はもちろん経営者の仲間にも本当に恵まれていて、困った時には必ず助けてくれる人が現れますね。」

この日お茶を淹れて下さった方も実は幼稚園からの幼馴染だそうで、「本当にすごく優秀な人。ちょうど三方よし事業の人員が足りなかった時に適任の人員と確信して、入社を勧めたところ御縁が繋がったんですよね。」とべた褒め。また、前社長である父親や一緒に働く姉も心の支えとなってくれているのだそう。

失敗を恐れないながらも、人の心を傷つけてしまう失敗はしないよう心掛けている、というのも人を大切にしているからがゆえといえますね。そんな北野さんの想いは社内にも浸透し、そしてそれがお客さんにも自然と伝わり、最近ではカーブスに来てくださっている方が「この会社で働きたい」と志願して入社されるケースも多いのだとか。まさに「ハッピートライアングル」を具現化しています。

エフアイの今後の目指すところ

そんな三方よしの精神が社内外共に根付く株式会社エフアイ。今後の更なる展望についてお聞きしました。

「広くいうと世界平和。会社として多角経営を行っているのですが、社員がこんなことがしたい! といったことがどんどん実現し、それが成功して存続していける。そんな自由な社内風土をもっと作っていきたいですね。実際に、整体事業も社員が自ら志願して立ち上げが叶った例の一つです。私自身もその技術に惚れ込み、健幸につながる事業だと確信しました。今後益々高齢化の進む社会の中で、高齢者が元気になるということはとても大事です。要介護や寝たきりの方の介護の為に若い労働力が犠牲になるというケースもありますし、高齢者が元気になるということはすなわち皆が元気で健幸な世の中に繋がるんですよね。そうした目的のために今ある3つの事業で高齢者や組織、社会全体を健幸へと導き、滋賀県内、日本、世界にそれを広げていければと考えています。」

同時に「時間=命」だと話す北野さんの言葉を受け、私たちも自由に夢を持ちやりたいことをしながら育児や趣味をいきいきと楽しむ、そんな人生を歩んでいきたいですね。

育児と仕事の両立に悩む子育て世代のママたちへのメッセージ

「時間=命」からふと頭に浮かんだのは、育児と仕事の両立に直面し悩んでいらっしゃる子育て世代の方が多くいらっしゃること。そんな方に向けて北野さんは

『私自身は結婚していますが子どもがいない。だけど子育てしている人はすごく応援したいと思っています。何もできない赤ちゃんの状態から育てていくってすごいことだと思うんです。だからその人たちができないことを私が頑張ってあげたい。だから、お母さんたちには子どもが小さい頃はなるべくたくさん赤ちゃんと触れ合って、一緒にいる時間を大切にしてあげてほしいです。

私が小さな頃、とても忙しく働いていた母曰く「手のかからない子ども」だったそうですが、きっと小さな子どもながらに私は頑張っている母の姿を見て邪魔してはいけない…、と我慢していたと思うんです。でも一緒にいる時間が長ければいい、というわけでもありません。実際に子どもと長く時間を過ごすことでストレスとなり、接し方に悪影響を及ぼしてしまえば本末転倒ですしね。

だからやりたい仕事をしながら、それ以外の時間の中でしっかりとピンポイントで子どもと向き合い、愛情を与えてあげることができればいいんじゃないかと思うんです。自分が何になりたいか、決めるのは自分。今はいろいろな制度も整っていますし、あらゆる選択肢があるので上手く使ってほしいですね。想いがあれば何にでもなれるんですから。ただ、しっかりと限られた時間の中で我が子に愛情を届けることは大事にしてほしいです。少子化の世の中、子どもや子どもを育てているお母さんはとても貴重ですから。』

そう話してくださいました。女性の方が多く働く環境の中でも、社員の会社への満足度が100%の理由が分かった瞬間でした。


文・りーしゅん

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【今回の女性経営者】

株式会社エフアイ
代表取締役 社長 北野 裕子さん

2019年03月12日時点での情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、ご確認の上、おでかけください。
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